めっき屋営業マンのブログをご覧いただきありがとうございます。
今回はロールの製作に使用される鋼材の種類についてご紹介します。
ロールの製造工程に興味のある方はまずはじめに下記からご覧ください。
目次
- 鋼材の種類について
- 鋼管
- 棒鋼
- 鋼板
- 平鋼
鋼材の種類について
ロールに製作される主な鋼材は、鋼管、棒鋼、平鋼、鋼板です。
平たい鋼も基本的には円筒形に加工して使用します。
製作加工において材料選定は超重要です。
なぜならロールの構造によっては製作費用に占める材料代の割合が大きくなるからです。そのため、どのような材料を使用するかはコストそのものに関わってきます。
弊社では、営業員がロール製作に必要な材料選定の知識を持ち合わせており、お見積もり時には都度最適な材料選定をおこなっています。
それでは、どのような鋼材があるかご紹介させていただきます。
鋼管
パイプ状の鋼材です。キロ当たりの材料単価は棒状の鋼材に比べると高めですが、パイプ状になっている分重量が軽いためコストを抑えることが可能です。
3種類あります。
【シームレスパイプ】
継ぎ目の無い筒状の鋼材です。
基本的にはシームレスパイプ選びが鋼管選定時のベースとなります。
シームレスパイプには材料規格があります。
材料規格に合うパイプで設計をおこなうことが無駄のない材料選びに繋がるので、設計でもパイプの規格を知っていることは重要です。
パイプを選定する場合は、まずシームレスパイプがあるか調べます。無ければその他の鋼材から選定する必要が出てきます。
シームレスパイプは、丸棒形状の材料を高温に加熱し、外周より圧縮しながらその中心をプラグという工具を押しあてて丸棒の状態に穴を開け成形します。
接合部がないので材料欠陥が出にくくめっきに最適な材料といえます。
製造方法の点から寸法精度はあまり良くありません。
この点は、旋盤やバランスの管理が必要となる理由でもあります。
材料選定の際は、旋盤で削るということも考慮し、加工の知識も必要になります。
ちなみにですが、規格には上限があり、STKM13Aだとφ426までしかないのでそれ以上は板巻パイプもしくは鍛造パイプを選定しないといけなくなります。
板巻きパイプと鍛造パイプに共通していることですが、受注生産となるので納期がかかります。
そのため、φ420を超えてくる辺りから発注納期には注意が必要です。
【板巻パイプ】
鋼板をロール機やプレスで円筒状に成形し、溶接して造る鋼管を板巻パイプと呼びます。板を丸めて成形するため、厚みや サイズを調整しやすいというメリットがある反面、溶接による繋ぎ目のせいで悪影響があります。
めっきで問題になることが多いのはこの板巻パイプを使用しているケースで、新品・修理品に関わらず、溶接部から無数に巣穴が出てきてトラブルになることがあります。
めっきには適さないことは事実ですが、シームレスパイプの規格サイズより大きいものは板巻鋼管で検討せざるを得ない場合があります。
特に梨地仕上げの場合は溶接部が模様として 浮き上がってくる場合があります。
品質が重要となる場合は鍛造パイプを選定するしかありません。
【鍛造パイプ】
鍛造パイプは鍛造と呼ばれる成形方法でつくられた鋼管です。
鍛造とは、金属を叩いて圧力を加えることで強度を高め、目的の形状に成形する技術です。この叩く作業を「鍛える」というので、「鍛えて造る」ことからこの製造法を「鍛造」と呼ぶようになりました。
シームレスパイプと同様に繋ぎ目の無い鋼管のため、品質を重要とし板巻鋼管ではNGの場合に選定します。
板巻鋼管と比較するとかなり高めです。
棒鋼
棒状で中身の詰まっている無空の鋼材です。基本は丸棒を指しますが、鍛造軸も同じ部類としています。
SUJ-2などの硬い鋼材は溶接には適しません。棒鋼から削り出しで使用するため、非常に重たいロールになります。
【丸棒】
丸鋼ともいい、断面が円形で細長い鋼材です。
軸材に多く使用されます。
鋼管の規格サイズがない場合や軸の内部に通水をおこなう場合は、丸棒の中を穴あけ加工(BTA) をして使用することがあります。
【鍛造軸】
鍛造で成形した軸材です。
軸材などで材料径が大きい場合、丸棒から選定すると一番軸径が大きいところに合わせて材料選定をするので構造によってはかなりの量を旋盤で削り落とすことになります。
鍛造軸とすることで予め軸の形が形成されてから入荷するので材料を削る時間の削減や材料代そのものの節約になります。
ただし、鍛造パイプ同様納期がかかるため、余裕を持った納期管理が必要です。
鋼板
鋼板とは板状に成形された鋼材のことです。基本的には四角の状態で使うことは少ないのでガス切りをしたものを仕入れることがほとんどです。
【ガス切り鋼板】
ガス切り鋼板とはガスバーナーの高炎熱による溶断により、切断した鋼板のことです。
弊社では円筒形状に加工したものをフランジなどの厚みが薄い部分での使用に選定します。
平鋼
平鋼とは平べったい鋼材のことでフラットバーとも呼ばれます。
弊社では冷却ロールや温調ロールの流路部分のガイドとして使用しています。
平鋼だけはそのままの状態で使用しています。
ただし、スパイラルフィンに関しては全て平鋼を使用しているわけではなく、丸棒形状のものを使用する場合もあります。
以上がロール製作の際に主に使用する鋼材です。
基本的にめっきの際に品質に影響を与えるのは板巻パイプだけですが、鋼管にも種類があって大きさによっては品質に影響が出ることがあるということをご紹介させていただきました。
ただし、材質によってもめっきに悪影響を与えることもあるので注意は必要です。
鋼材について知っておくと品質改善や費用削減、納期管理に役立つのでぜひ覚えて下さいね。
今回は以上です。
弊社はクロムめっきとロールのトータルサプライヤーです。
クロムめっきやロールに関する技術的な質問やお困りごとがあればお気軽にお問い合わせください。
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