センター穴アイキャッチ

めっき屋営業マンのブログをご覧いただきありがとうございます。
突然ですがみなさんはこの部分のことをなんというか知っていますか?


軸端面


この部分ですが、センター穴といいます。

今回はセンター穴の役割と注意すべきポイントについてご紹介します。




目次

  • センター穴について
  • センター穴ドリルとは
  • センター穴角と保護角
  • 修理時にセンター加工(もみ)が必要になるケース



センター穴について

センター穴は軸端中心部にある穴です。

センター穴


主に円筒研磨・バフ時に品物(ワーク)を支えるために使用されます。

センター押し写真


円筒研磨・バフでは細長いシャフトや軸の両側をセンターという尖がった治具で押して支持します。 そして回転させ、砥石を当てて研磨します。

この時、シャフトの両端面の中心にはセンターの先端を沈めるための小さな穴が必要です。

それが「センター穴」です。


穴がなければ押さえることができないのでセンターを使用して品物を支えることは絶対にできません


このセンター穴ですが旋盤時に専用の工具を使用して加工します。

センター穴をあける時に使うのがセンタードリルです。

センタードリルによる加工を「センターもみ」「センターもみつけ」と呼んだりします。

センタードリル


センタードリルは基本的に入り口の角度(テーパー角度)が60°のものを使用します。

なぜなら使用されるセンターの角度は60°であることがほとんどだからです。


重量物を支える必要がある場合、角度が75° や 90°のセンター穴を使用することがありますが、
センター穴と言われたら 60° で覚えておいてください。



センター穴ドリルとは


センター穴ドリルは本来、旋盤加工や円筒研削加工などセンターを使用して材料を支持する際、センターの先端を沈めるために円形材料の側面(端面)の軸中心に小さな穴をあけるための切削工具です。

しかし、一般的にはドリルの穴あけ加工の位置決めや穴の面取り、薄板の穴あけ加工など幅広く使用されています。

センタードリル使用例



センター穴ドリルは先端の形状により

     (1)A形 (2)B形 (3)C形 (4)R形
           
                         
の4種類があります。

                   

以下、各ドリル形状の説明です。



(1)A形センタードリル

最も一般的なもので、センター穴角が60°または90°のものです。
A形 



(2)B形センタードリル

センターが接触するテーパ面の外側が先端角(保護角)120°の面取り形状になっているものです。
B形 


(3)C形センタードリル

センターが接触するテーパ面の外側が座ぐり形状になっているものです。
C形 


(4)R形センタードリル

センターが接触するテーパ面が円形状になっているものです。

R形 



以上がセンタードリルの種類になります。


一般的なセンタードリルはA形です。


その他のセンタードリルとの違いは保護角の加工がないことです。



では保護角とは一体何でしょうか?



センター穴角と保護角


B形、C形、R形のセンタードリルは保護角と呼ばれるセンターとセンター穴が密着する面を保護する加工がされています。

 例:B形センタードリル
B形センタードリル



【B形センター穴】

センターが密着する面の外側に保護角120°の面取り部を持ち、テーパが2段になっているセンター穴です。
B形センター穴

テーパを2段にすることによって、センターを挿入する開口部が広くなり、センターを挿入する際に先端がセンター穴テーパ面に衝突し、傷つき、変形することから保護する働きを持ちます。
また、面取りがあることにより、端面の仕上がり具合やバリ、かえりなどの影響を受けません。

【C形センター穴】

センターが接触するテーパ面の外側が座ぐり形状になっているセンター穴です。C形センター穴

座ぐり形状によりB形よりもさらに外部の衝撃からセンター穴テーパ面を保護する効果が得られます。


【R形センター穴】

センターと穴が密着する面が円弧になっているセンター穴です。R形センター穴


センターがセンター穴の角度よりも大きい場合や小さい場合、またセンター穴の軸芯がずれている場合のいずれでも比較的安定してセンターを支持できます。

この反面、センターとセンター穴の接触が点当たりになるので重切削や重量物の支持には不適です。 


以上が保護角の説明になります。
保護角は3種類ありますが、いずれもセンター穴のトラブルを防ぐ役割があります。


保護角によりセンター穴が守られて加工中の不具合が起きることが減りますが、

先ほども申し上げた通り、実際には保護角のないA形センター穴で加工することが多いです。

A形センター穴

A形で加工していても品物が完成するまでにセンター穴によるトラブルはそれほどありません。


年に数回、センター穴の軸芯がずれていることがあるくらいです。


しかしながら、何回もセンター加工をし直さないといけない時があります。




修理時にセンター加工(もみ)が必要になるケース


基本的には製品が完成した時点でセンター穴の役割は終わります。
しかし、センター穴を再び使用することがあります。

それは修理の時です。

ベアリング脱前

長年使用しているとセンター穴の精がが何らかの要因で悪くなることがあります。
原因は腐食やセンター穴を傷つけたなど様々です。
ですが見た目では悪くなっているか分からないので機械に乗せてから発覚することがほとんどです。

その際は旋盤にてセンター穴を再加工しなければなりません

センター穴の再加工を「センターをもみ直す」とも呼んだりします。


※センター穴を使用して加工をすることが前提です。センターを使用せずに加工できる場合は不要な場合もあります。

以下修理時にセンター加工が必要になるケースの例です。

①チャッキングが出来ない場合

チャッキングとは4つ爪のチャックでつかんで加工することを言います。
チャッキング

軸を直接つかんで加工するため、つかんでいる箇所は加工ができません。
修理の際は軸は仕上がっているため、センターを使用しなくてもチャッキングで加工できる場合もありますが、必ずセンターを使用しないといけない場合があります。

チャッキングをせずに加工しなければいけないケース

【軸先端をめっき修理】

軸めっき

軸先端をめっき修理する場合は研削時にセンターを使用するため、センターが悪ければセンターもみが必要になります。

【軸端が短い】

先端短い

胴部を修正する場合でも軸基準面が軸端の場合かつ、軸端の長さが短すぎると基準面をチャッキングできなかったり、芯出しが不可能なため、センターが悪ければセンターもみが必要になります。

②センター穴にタップ加工を追加する場合

タップ加工追加

センター穴にタップ加工を追加で行う場合は、既存のセンター穴がなくなるので60度の面取りもセットで行います。

③軸部の肉盛り修正を行う場合

肉盛り修理

軸部の肉盛り修正をおこなった場合は、熱ひずみにより軸先端が振れるため、次工程が研磨等センター穴を使用する場合は必要に応じてセンターもみを行います。

以上になります。
②③に関してはいずれにせよ旋盤機上に乗せますが、
①のケースはセンター穴加工のためだけに旋盤機上に乗せる必要があるので加工賃が割高になるので注意が必要です。



注意事項

センターの深さは特に決まりがなく、使用上機能さえ満たしていれば問題ありません。
しかしながら、センター穴の再加工を繰り返すたびにセンター穴は物理的に大きくなっていくことは理解しておいて下さい。
また上記のケースでもセンター穴の再加工をしなくても実際には修理はできます。
ですが、センター穴の精度が悪くなっている分だけそのまま修理箇所に精度が移ってしまいます。
0.1㎜以上振れがあれば、0.1㎜以上の振れになります。



①修理の際にセンター穴が悪くなっていれば、センター穴の再加工をします。
修理のたびに繰り返しセンター穴加工を行うと、どんどん穴が大きくなるので再加工をしなくて済むようにセンター穴を管理することが大切です。

②センターの再加工が必要なのにも関わらず、再加工をしない場合は元々の使用していた精度よりも悪くなる場合があります。


ポイント!
       


いかがだったでしょうか?
センター穴は品物を精度よく仕上げるために必要不可欠な加工です。

修理の際にも大事な部分になりますのでお客様の元で使用されているロールも
センター穴を傷つけないように気を付けて管理して下さい。



今回は以上です。

弊社はクロムめっきとロールのトータルサプライヤーです。

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