いつもめっき屋営業マンのブログをご覧いただきありがとうございます。
弊社は大阪市城東区にある工業用ロール製作を得意とするめっき屋です。
前回、工業用ロールの製造工程については旋盤仕上げ部分までをご紹介しましたので
今回は続きの工程である研削~硬質クロムめっき~仕上げ研磨までの工程をご紹介します。
※梨地は特殊なため、研磨での仕上げという前提になります。
目次
- 加工工程の検討
- 研削
- 下磨き
- クロムめっき
- めっき後研削
- 仕上げ研磨
加工工程の検討
まずめっきとは素材の表面に新たな金属皮膜を付与することで、元々の素材そのものが有していない表面特性を与える技術のことです。クロムめっきとは素材の表面に付与された金属クロム皮膜のことをいいます。
外観色はシルバー色で高度の光沢が得られ、幅広い用途で使用されています。
クロムめっきをロールに施工する上で考えなければならないことはどのような工程を組めばロールのスペックを満たせるかということです。
クロムめっきは表面の外観を良くするだけでなく、錆びないように表面を守るなど様々な機能を果たしてくれますが、
クロムめっきを施工するだけではロールに必要な機能を果たせないケースが多いのでクロムめっきと研削・研磨の工程を組み合わせて仕上げていきます。
組み合わせが必要な理由を簡単に説明します。
均一に析出しにくい
一つ目の理由としてクロムめっきは均一に析出しにくいという特徴があり、めっき厚みが多くなるほどロールの角部と中心部などでめっきの付き方に違いが出たり、めっきの条件により偏肉が起きたりします。
そのため、膜厚が50μ以上と厚くなる場合やクロムめっき後のロール精度が厳しいものは形状に応じて研削をします。
磨きが必要
二つ目の理由はクロムめっき後の表面は白っぽくざらついた表面をしています。膜厚を厚くなればその傾向は強くなるため、平滑性を得るためにめっき後に表面を磨く必要があります。
平滑を得るための加工は研削でも研磨でも問題はありませんが、必要な平滑さに応じて加工を選択する必要があります。
磨きの工程を研磨あるいは研削と呼んだりしますが、
弊社では部品に求められるスペックにより、最適な研磨機を選定して加工しています。
※グラインダー研磨とは円筒研削のことです。
各種機械により特徴がありますが今回は割愛します。求められるスペックによっては
円筒研削→バフ研磨、円筒研削→バーチカル研磨と2回研磨を行う場合もございます。
では実際の工程をご紹介します。
研削
めっき前のロール精度を整えるために円筒研削盤で加工をおこないます。
ロール精度とは真円・円筒・振れのことです。
なぜめっき前に研削をおこなうかについてですが、旋盤仕上げの段階でロールの精度が図面スペックを満たせていないとクロムめっき後はもちろんロールスペックを満たせていません。
めっき後に研削でロールスペック内に収めるという手段もありますが、振れが大きかったりすると研削時に片当たりして部分的にめっきが剥がれてしまう可能があるので、極力めっき前に研削、必要に応じてめっき後に研削します。
入社したばかりの頃、めっき前に研削してもめっきで精度が悪くなるならめっき後だけの研削だけで良いのではと思っていましたが、めっき前の鉄芯の状態を良くしておくことはとても重要です。
ただし、研削が困難な材質や研削をしなくてもロールスペックを満たせるものは研削はしません。
下磨き
バフ研磨機あるいはバーチカル研磨機でめっき前の下磨きをおこないます。
この下磨きをおこなう理由ですが、クロムめっきは素地の凹凸を平滑化させる機能がありません。どちらかといえば悪化します。
このため、母材表面をめっき前に荒らしておくと梨地めっきにすることが可能でめっき前の表面状態はとても重要です。
研削をおこなっていない旋盤仕上げ後の表面や研削時にできたスクラッチ傷などはめっき後に平滑にするのは大変なため、めっき前の時点で平滑にします。
また、素材表面にある穴はめっき後に欠陥となるので下磨きの時点で処置をおこないピンホールになるのを防ぎます。
表面の仕様が厳しくないものに関してはこの工程を省略する場合があります。
クロムめっき
必要とされるめっき厚みに応じて電気量や時間を調整し、クロムめっきを施工します。
精度や磨きを必要としない場合は、後工程の考慮が不要なため指示通りのめっき厚を施工しますが、大体のケースは研削や研磨をするので必要膜厚+αの厚みで処理します。
めっき前は下磨きをしたことで鏡面になっていた表面もクロムめっき施工後は平滑さが多少落ちて白っぽくざらついた表面になります。
めっき後研削
先ほども説明した通り、クロムめっきは均一につきにくかったり、条件によっては偏肉を起こすためめっき前にロールスペックに入っていたとしても、めっき後にはほぼ外れているので研削でロールスペックに加工します。
ただし、研削で真円・円筒・振れを満たせたとしても表面粗度・スクラッチ・送り目などがNGの場合は仕上げ研磨が必要になります。
仕上げ研磨
めっき後の表面を鏡面にするための研磨です。
ロールのスペックに応じてバフ研磨かバーチカル研磨を選びます。
弊社で一番多い工程は
研削~バフ下磨き~クロムめっき~バフ仕上げ研磨ですが、
バーチカル研磨であれば0.05Sの超鏡面仕上げも可能です。
完成後は検査をおこない梱包します。
いかがだったでしょうか。
クロムめっきをするといっても実際にはいろんな加工工程があり、最適な方法を選択して加工をしています。
今回は、研削~クロムめっき仕上げまでの一般的な加工工程をご紹介させていただきました。
弊社はロールのトータルサプライヤーです。
ロールの製作~クロムめっき仕上げまでの一貫生産はもちろんのこと、クロムめっきが必要なロールや部品をお預かりしての加工をおこなっています!
修理も可能です!
クロムめっきやロールに関する技術的な質問やお困りごとがあればお気軽にお問い合わせください。
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