いつもめっき屋営業マンのブログをご覧いただきありがとうございます。
今回はロールコーターで使用するナイフロールについてのお話しです。
- ナイフロールとは
- ナイフロールの使用方法
- ナイフロールの種類
- ご依頼について
ナイフロールとは
ナイフロール(別名コンマロール、パイプドクター)とはロールコータで使用されるドクターロールの1種で、ナイフのように刃先加工をおこなったロールのことです。
回転させずに固定して使用し、塗布量を調整する役割があります。余分に塗工液を塗布してから後で掻き取る方式は後計量塗工に分類されます。ナイフロールの役割
ナイフロールによる塗工は液ダム内への外部空気の侵入を防止し、塗工面に気泡を発生させることなく、品質を向上し、外観に優れた塗工製品が得られ、しかも厚塗り塗工など高粘度の塗工液を使用する塗工作業の高速化をはかることができる塗工方法です。ナイフロール、コンマロール、パイプドクター等各社名称を変えていますが、いずれも使用用途は同じです。
一般的にはコンマロール、コンマと呼ばれるケースが多いですが、コンマロールの名称はヒラノテクシード社の登録商標になります。ちなみにですが名前の由来はローラーの形状が横から見ると,(コンマ)の形をしていることからきているそうです。
ナイフロールの使用方法
使用方法は主に2パターンです。
①ダイレクトコーティング
②リバースコーティング
ブレードと基材の間に薬液の液だまりを作り、ナイフロールの先端部分で塗工液を掻き、調整しながら塗工を行います。ダイレクトコーティングよりもリバースコーティングの方が精度の良い塗工ができるのが特徴です。
フィルム(基材)へ直接塗布するか、転写させてから塗布するかの違いはありますが、いずれの場合でもナイフロールの使用用途は同じです。高粘度の塗材、厚塗りのコーティングを行う場合に適しており、刃先部分の真直度が重要となります。
ナイフロールの種類
種類については刃先の角度による区分と形状による区分があります。
【角度による区分】
お客様の設計仕様に基づいた刃先の加工が可能です。弊社の実績としては60~90度になります。
鋭角になるほど、刃先の手入れが難しく加工難易度は高くなります。
【形状による区分】
①通常タイプ
形状が小径であれば無空の場合もありますが、中空パイプに軸を焼きばめ・溶接した単純な構造のロールにフライス削りにて刃先の加工をした構造になります。材質は鉄系が最も多く使用され表面は硬質クロムめっきを施工します。めっき後の欠けを防止するため、仕上げ研削は外径のみおこなうためフライス削り面は手仕上げとなります。
②調整ボルト式タイプ
外筒の中にシャフトを通したジャケット式の構造になっており、調整ボルトを使用することで自重によるたわみを調整できる構造になっています。調整ボルトは外径に細目のネジ穴、内径に固定ボルト用のネジ穴が加工されたネジのことです。調整ボルトを回すことで外径と内径のネジのピッチの違いにより、外筒の高さ調整が可能となります。通常タイプと同様に材質は鉄系が最も多く使用され表面は硬質クロムめっきを施工します。
③付け刃式タイプ
ロールの構造としては通常タイプと同じ構造をしていますが、フライス削り面に別刃を取り付けることができるようになっています。別刃の刃先にはステライト溶射が施されています。ステライトの硬度はHv=458程度でクロムめっきよりは劣りますが、粘っこい材質であるため刃こぼれしにくく、優れた耐熱性、耐摩耗性、耐酸化性を持ちます。材質は鉄系を使用する場合とSUS系を使用する場合があり、鉄系の場合は表面に硬質クロムめっきを施工しますが、SUS系の場合は表面処理をおこなわず研削仕上げのみとなります。
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