いつもめっき屋営業マンのブログをご覧いただきありがとうございます。 今回は弊社でも多く取り扱っておりますガイドロールについてです。
- ガイドロールについて
- 旋盤加工後の次工程での加工性の違い
- クロムめっき時のメリット・デメリット
- 材質によるメリット・デメリット
- 使用上の問題点
ガイドロールについて
ガイドロールとは
ガイドロールは、ロールtoロールプロセスで走行するフィルム等の成形品を搬送するために使用されるロールであり、搬送物の移動、方向転換、速度を制御する働きをします。
主に駆動をさせずに使用されることが多く、成形品の走行に合わせて接触しながら回転して低負荷で搬送を行います。
ガイドロールの種類
ガイドロールには軸付き・軸なしのロールがあります。
【軸付きガイドロール】
パイプと軸が一体になったガイドロール。
ガイドロールとベアリングがあれば、使用可能で軸にベアリングを挿入し、回転して使用します。
【軸無しガイドロール(テンデンシーロール)】
パイプとフランジが一体になったガイドロール。
テンデンシーロールと呼ばれたりすることがあります。
軸がないため、内径にベアリングを挿入しシャフトで回転を支えます。
シャフト側はベアリングで受けるか、固定します。
今回は軸付きガイドロールと軸無しガイドロールの加工性の違いについて特徴とともに解説します。
旋盤加工後の次工程での加工性の違い
旋盤加工後の研磨やめっきなどの工程ではセンター穴と呼ばれるロール端面の穴を使用して加工を行うことがあります。軸がついているか、いないかで形状がかなり異なるので少なからず、加工のしやすさに影響が出ます。軸付きガイドロール
①軸を基準にして加工が可能
⇒センター穴を使用して芯出しができるので基準を取りやすく、精度管理が比較的容易です。
②振れ修正が容易
⇒軸部を研磨できるので旋盤加工時に万が一振れが出ていてもめっき等の手段で振れ修正が可能です。またロールを押したり、熱を加えることで軸の位置を微調整し、振れを直すこともできます。
③バランス測定は軸で受けて測定可能
⇒バランス測定時は軸を受けて測定が可能なので胴体への傷のリスクは少ないです。
軸無しガイドロール
①ベアリング基準面(内径)で加工が不可
⇒C面を傘センタで押して芯出しをするのでC面基準での加工になります。
C面と内径の同芯がずれていると研磨等の後工程で加工しても精度が良くならないので注意が必要です。
旋盤加工時にC面と内径の同芯をそろえておくことが大事です。
精度が厳しい場合、外径を仕上げてから外径基準で内径を仕上げる必要があります。
しかし胴体が傷つくリスクがあります。
②振れ修正が困難
⇒内径(ベアリング部)起因で振れ精度が悪い場合、肉盛りによる修正をする必要があります。
内径をめっき及び研磨で修正するのは困難です。
③バランス測定は駆動方式によっては胴部を受けて測定
⇒胴部をコロで受けて回転させるということは受け傷等、傷のリスクが高いです。
ベアリング等を使用して計測すれば胴部の傷は回避できますが、内径へベアリング挿入時の傷が入ります。
クロムめっき時のメリット・デメリット
軸付きガイドロールと軸無しガイドロールにクロムめっきをする場合のメリット・デメリットは下記の通りです。軸付きガイドロール
①1本ずつしかめっきができない
⇒本数が多いとめっきの工程で納期がかかることがございます。
②軸部は外側から巻き付ける形でマスキングが可能
⇒マスキングが容易
③端面や軸部にもめっきが可能
⇒ロール形状によりめっき回数が増える可能性がありますが、胴体だけでなくロール端面や軸周りのめっきも可能です。
軸無しガイドロール(テンデンシーロール)
①重ねてめっきが可能
⇒複数本口でも重ねてめっきできる長さであれば1つの槽で2本以上めっきができるので納期は比較的早くできます。
②内径にマスキングが必要(材質による)
⇒内径の材質がアルミの場合、めっき液で溶けてしまう可能性があります。そのため、めっきをしない内径部などはアルミテープでマスキングをします。比較的小さな穴にマスキングを行わないといけないためマスキングは難しくなります。
③挟み込むので端面のめっきは出来成となる
⇒軸無しガイドロールの場合、通電はロール側面を挟み込んで行います。挟み込んだ箇所は露出されずにマスキングされた状態になるため、めっきはつきません。ロール側面にどうしてもめっきが必要な場合はめっき用に治具をつくる必要が出てくるのでSUS材を使用する方が安価にすむ可能性があります。
形状による違いはここまでです。
材質によるメリット・デメリット
次は材質によるメリット・デメリットです。鉄系
加工は一番簡単であり、材料も安価です。しかしながら、鉄系の材質は錆びやすいので表面処理は必須です。
SUS系
加工は難しいですが、錆びに強いという最大のメリットがあります。しかしながら、材料代が高いのでコストがかかります。
アルミ系
軽いということが最大のメリットです。弊社でめっきするガイドロールとしては圧倒的にアルミを使用したガイドロールが多いです。しかしながら、アルミへのクロムめっきは難しく、実は加工できるめっき屋さんは限られます。
会社によっては下地にNiめっきをして密着を上げる場合もございますが、弊社ではクロムめっきのみでも密着の良いめっきが可能です。
また研磨するのが難しいので精度良く加工するのが難しい材質でもあります。
使用上の問題点
このような接触式ローラーは、多くの工場に導入され広く普及している一方、接触して搬送することによる問題があります。
① フィルムに傷がつく
高い品質が求められる製品では、接触による傷は不良増加・歩留まり低下の原因になります。⇒面粗度の改善が必要なケースがございます。
弊社ではRy0.05以下の超鏡面加工が可能です!
② 静電気の発生源になる
ガイドローラーを走行し、フィルムが接触・剥離を繰り返すことで静電気を帯びていきます。 静電気は、浮遊しているゴミ・ホコリを引き寄せたり、放電のショックで作業環境を悪化させるなど 様々な問題を引き起こす原因になります。
特にゴムやテフロンコーティングといった導電性がない材質を表面処理に使用すると静電気が発生しやすくなるのでめっきにすることをおすすめします。
③ ロールを汚染する
フィルムに付着していた小さな異物が、ロールに転写することがあります。これが蓄積していくと、ロールの表面を汚染して、ガイドするフィルムへダメージを与える原因になります。このような工程では、定期的なロールの清掃管理が重要です。⇒弊社では硬質クロムめっきのマイクロクラックにフッ素樹脂を含侵することで離型性を良くした離型性クロムめっきを提供させていただいております。
フッ素樹脂含有クロムめっき「テフ・ロック」
④ フィルムが張り付く
ガイドロールは、フィルムの張力が高いとロールと張り付き、剥離性が悪くなることがあります。張り付きを防止するために、用途に適した、ロールの表面処理やコーティングを調べて導入する必要があります。⇒弊社ではロールの表面を梨地にしたり、表面に溝加工を行うことで張り付きを防止することが可能です。
梨地処理
溝加工イメージ
いかがだったでしょうか?
弊社では日頃より多くのガイドロールを取り扱っております。
ガイドロールの製作、めっきどんな仕事でも大歓迎です。
「こんなロールできますか?」「めっきをお願いしたい」
ロールの軽量化に関してもご提案させていただきます。
まずはお気軽に問い合わせ下さい。
またクラウンのガイドロール製作も可能です。
ご連絡をお待ちしております。
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