めっき屋営業マンのブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は弊社、製作工場の主力製品であります熱媒循環式ロールの構造と特徴についてご紹介します。
まず、工業用ロールについてとその製造工程はこちらのブログをご覧下さい。
工業用ロールの製造方法について【旋盤仕上げまで】
目次
- 熱媒循環式ロール【冷却ロール、加熱ロール】とは
- 2重管ロール
- 3重管ロール
- 熱媒の循環をより効率的にする方法
- 内部の腐食対策
- 接続部分の消耗対策
熱媒循環式ロール【冷却ロール/加熱ロール】とは
熱媒循環式ロール【冷却ロール、加熱ロール】は、その名の通りロールの内部を熱媒体が循環することで基材を温めたり冷やしたりする役割をするロールです。
弊社で製作する2重管、3重管と呼ばれる熱媒循環式ロールは、ロールの上からロールを重ねたような2層構造になっており、パイプ同士の隙間を熱媒体が通っていく仕組みになっています。
【2重管、3重管ロールにするメリット】
(1)熱媒体の量を最小限にできる
ロール内部が空洞になっているものと比べて熱媒体の量を流路の分だけに抑えることができます。(2)効率的に予熱・冷却が可能
外筒と内筒の隙間を熱媒体が通るため表面温度にムラが出にくく効率的に予熱・冷却が可能となります。弊社ではパイプ材を2つ使用するものを2重管ロール、3つ使用するものを3重管ロールと呼んでいます。
2重管ロール
使用材にパイプ材を2つ(外筒パイプ、内筒パイプ)使用しているので2重管ロールと呼んでいます。
単式のロータリージョイントを使用することで片側の軸から熱媒が入り、外筒パイプと内筒パイプの隙間を熱媒が通り、最終的に入側と逆側の軸から熱媒が出てくる構造になっています。
設計からの場合、ロータリージョイントの接続はPTネジのみでいけるので付属備品を考慮せずに済みます。
3重管ロール
使用材にパイプ材を3つ(外筒パイプ、内筒パイプ、通水パイプ)使用しているので3重管ロールと呼んでいます。
複式のロータリージョイントを使用することで片側の軸から熱媒が入り、通水パイプを通って反対側へ熱媒が流れ、外筒パイプと内筒パイプの隙間から熱媒が戻り、最終的に入側から熱媒が出てくる構造になっています。
ロータリージョイントの接続が片側のみで済むというメリットがありますが、設計からの場合は付属備品の選定も行う必要があるため少し手間が掛かります。
熱媒の循環をより効率的にする方法
熱媒の循環効率を上げるガイドの加工
2重管、3重管ロールはパイプ同士の隙間を持たせた構造にするだけでも熱媒の循環は良くなりますが、この構造に加えて通水部のガイドも併せて加工することを推奨しております。
スパイラルフィンとペリフェリの2種類ございます。
(1)スパイラルフィン
内筒外径へ螺旋状に取り付けた丸棒あるいは平板のことで、ロールの回転方向を考慮して取り付けることにより熱媒の循環をより効率的にできます。
(2)ペリフェリ
内筒外径へロールの面長方向に取り付けた丸棒あるいは平板のことで、回転方向を使い分けるロールでも対応できる構造となっています。
内筒外径へ螺旋状に取り付けた丸棒あるいは平板のことで、ロールの回転方向を考慮して取り付けることにより熱媒の循環をより効率的にできます。
(2)ペリフェリ
内筒外径へロールの面長方向に取り付けた丸棒あるいは平板のことで、回転方向を使い分けるロールでも対応できる構造となっています。
スパイラルフィン
ロールの回転によりフィンが水の流れを後押ししてくれるので循環しやすくなります。ロールを正転、逆転で使用する場合は逆効果になってしまう可能があります。ペリフェリ
スリーパス方式と呼ばれる構造が多く、入口から熱媒が出てきてから2回ターンして出口へ行くようになっています。ロールの回転方向に関わらず使用できますが回転の恩恵は受けることができません。お客様からのご依頼はスパイラルフィンが圧倒的に多いです。
弊社では細長い板材を使用してスパイラルフィンを巻いておりますので、予め材料を螺旋状にカットして仕入れたり、機械で巻いたりする場合と比較して安価に加工が可能です。
内部の腐食対策
熱媒に水を使用する場合、内部が腐食する場合がございます。
腐食の対策として塗装をされる会社さんもいるようですが、弊社ではNiめっきを施工しています。
膜厚は15μ、20μ、30μ~と指定可能です。
Niめっきの施工によりロールの寿命を延ばすことが可能です。
詳しくはリンク先のページをご覧下さい。
接続部分の消耗対策
ロール交換のために頻繁にロータリージョイントの取り外しを行っていると接続部分のPTネジ部分や嵌め合い部が摩耗や腐食により消耗し、水漏れの発生原因となります。
そのようなネジの不具合を防ぐために口金や軸継手といったロータリージョイントとの接続部品を製作することも可能です。
口金
軸の内径部分で嵌め合いを行い、ロール端面もしくは治具にネジ止めで固定する付属部品です。サイズが比較的小さくて済むのでSUSにしても安価で済みます。軸継手
軸の外径部分でネジ止めを行い固定する付属部品です。取り外しは比較的簡単ですが、サイズが大きくなるので交換が少し大変になります。口金式や軸継手式に変更することで接続部分が消耗しても部品の交換で済ませることが可能です。
ロールのPTネジ部分が潰れてしまった場合や嵌め合い部分が大きくなってしまった場合でも溶接肉盛りで修正可能ですが、胴体が傷つく可能性や熱ひずみによる影響でロール精度が悪くなってしまう恐れがあります。
まとめ
熱媒循環式ロール【冷却ロール、加熱ロール】は、その名の通りロールの内部を熱媒体が循環することで基材を温めたり冷やしたりする役割をするロールです。
熱媒の入口と出口が異なる構造を2重管ロール、熱媒の入口と出口が同じ構造を3重管ロールと呼んでいます。
熱媒の循環を良くするためのガイドとしてスパイラルフィンとペリフェリの2種類があります。
Niめっきを施工することで内部の腐食対策が可能です。付属部品で接続部品の消耗対策ができます。
以上になります。
ロール製作をご希望の方は是非弊社までお問合せ下さい!
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