リバースエンジニアリング

めっき屋営業マンのブログをご覧いただきありがとうございます。

弊社は工業用めっきロールの製造をおこなっている会社です。
ロールの製作加工には必ず図面が必要ですが、
お客様から図面を持っていない既存のロールを新規製作したいとご相談いただくことがあります

その際、既存のロールを調査して構造を分析し製造方法を理解することで、新たに製品を設計し、作図をして同じロールを製作します。

この既存の製品から情報を得て新たに製品を作ることをリバースエンジニアリングといいます。

今回はリバースエンジニアリングについてのお話です。


目次

  • リバースエンジニアリングとは
  • リバースエンジニアリングのメリット
  • リバースエンジニアリングの流れ
  • リバースエンジニアリングの注意点




リバースエンジニアリングとは

リバースエンジニアリング

リバースエンジニアリングとは、直訳すると逆行工学と呼ばれるように既存の製品を分解したり、動作を確認したりすることで製品の構造を分析し、技術情報を得る開発手法です。

弊社は自社のオリジナル製品としてロールの設計・製造はおこなってはいませんが、図面のないお客様のために既存のロールを調査し、設計・製造をおこなうことがあります。

製造業ではこのように他社の製品を分析して自社の製品開発に生かすといった手法は、昔から行われてきました。

この行為自体が、違法ではないかと気になる方もいるかもしれません。

しかし、リバースエンジニアリングは多くの企業がより良い製品を生み出すために行っていることであり、法律上でも合法です。

ただし、リバースエンジニアリングにより製造をおこなった製品が特許を持っていた場合は違法になる可能性があります。



リバースエンジニアリングのメリット

リバースエンジニアリングメリット

図面のない状態で機械設計を一からおこなうことはとても大変な作業です。
しかしながら、リバースエンジニアリングはそれらの設計が不要になるというメリットがあります。

たとえば、

「製造元の企業が倒産してしまったので図面の入手はおろか新規製作の依頼ができない。」

あるいは倒産していなかったとしても

「古い設備で当時の担当者がいない。」

もしくは、

「図面やCADデータが残っていない。」、、

といったことが製造業ではよく起こります。



しかし、そのような場合でも、リバースエンジニアリングで現物から設計データをつくれば過去の技術ノウハウを掘り起こして有効活用できます。


一度図面さえ作ってしまえば次回からは調査の必要はなくなるので、新規製作に困ることはなくなります。



リバースエンジニアリングの流れ


以下、弊社でのリバースエンジニアリングの流れとなります。

ロールの調査、採寸、スケッチ

RIMG1697
ロールの使用用途や機械での組み込まれ方等の情報により、ロールの構造を分析します。
また採寸もおこない、スケッチします。
ロール表面が特別な仕上げ方法だった場合は、表面の調査も合わせておこないます。

お見積もり

見積書
得られた情報を元にロールの構造をご提案し、お見積もりをおこないます。
ご不明点があれば確認をお願いします。

発注

注文書
注文書をFAX、メールにてご提出願います。
注文書を受理させていただいた時点でお取引成立とさせていただきます。

作図

CAD
ロールの調査及びスケッチした情報を元に作図します。
弊社ではAutoCADを使用しております。

承認

ご確認図
図面がお打ち合わせ内容と相違ないかご確認いただき、
問題なければ承認図として製作に移ります。

製作

2
図面を元にロールの製作をおこないます。
弊社ではロールの製作~めっきまで一貫生産できる設備が整っています。

納品

RIMG1850

完成したロールを納品します。
近畿圏であれば、営業員が配達にお伺いします。


以上となります。


しかし、既存のロールをリバースエンジニアリングする場合には注意点があります。


注意点

全く同じには再現できない

腐食


ロールの使用年数によっては腐食や荷重などの劣化により、ロールの形状が変形している可能性があります。

そのため、現状の再現は可能ですが、新品の時と同じである保証はありません。
また、ロールの内部構造を再現しようと思うとロールを切断して調査する必要があります。

調査するロールは、既存の設備で使用するために分解ができない場合がほとんどです。

そのため、過去の実績を元に構造はご提案させていただきますが、完全に同じではない可能性があります。

外筒パイプの肉厚については分解せずとも超音波厚さ計にて測定が可能です。

超音波厚さ計

超音波厚さ計で測定できない場合はロール重量から材料の厚みを逆算するしかありません。



機械から取り外した状態で調査の必要がある

組み込みNG

機械に組み付けてある状態や付属部品が付いている状態では正確な寸法が測定できません。


概算のお見積もりをするだけであれば組み込まれた状態でも可能ですが、
正式なお見積もりや製作が必要になる場合は、機械から取り外した状態でロールを調査する必要があります。





リバースエンジニアリングは図面のないロールを同じように設計、製作する方法です。

しかしながら、ロールの劣化による影響があったり、内部の状態まで調査が難しかったりと完全再現ができない可能性もあります。

ポイント!
       


今回は以上です。

いかがだったでしょうか?


「予備ロールを作りたいけど図面がない!」

弊社はクロムめっきとロールのトータルサプライヤーです。

ロールの調査~納品まで一貫生産が可能です!

クロムめっきやロールに関する技術的な質問やお困りごとがあればお気軽にお問い合わせください。



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この記事を書いた人

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IWATA

めっき屋営業マン

オテック株式会社営業所属。
オテック株式会社は
硬質クロムめっきとロールのトータルサプライヤーです。
めっきとロールに詳しい営業が日々情報発信します!!!!