いつもめっき屋営業マンのブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、弊社の主力製品である冷却ロール・加熱ロールのロータリージョイント接続時に使用される管用テーパーねじと下穴の関係について加工の観点から注意点をご紹介したいと思います。
冷却・加熱ロールについてはこちらをご覧ください。
目次
- そもそも管用テーパーネジとは
- ねじ加工の手順
- 深穴加工と下穴
- 軸穴径は下穴寸法より小径で設計しよう
- 穴径の変更が不可の場合は?
そもそも管用テーパーねじとは
【管用テーパーネジねじ】=テーパー形状になったねじ
管用テーパーねじは主に配管や水道管等の接合部分に使用されるねじで、管同士を接続・結合するために用いられます。気密性・耐密性・水密性が高く、気体や液体などに対応します。
ロールではロータリージョイントの接続や注水部の栓に使用されます。
なお材質によりねじ同士に隙間ができるのでシールテープなどのシール材を使用し止水します。
旧JISと新JISで表記方法が異なる
旧JIS規格ではテーパーネジをPTで表していましたが、現在ではテーパーおねじをR、テーパーめねじをRcで表記します。
ただし、表記には厳しい規制があるわけではないので現在でも旧JISの表記方法で作図されているケースもあります。
そのため、PT=R、Rcということを覚えておきましょう。
【管用テーパーねじサイズの呼び方】
PTネジに使われている「呼称」ですが、「インチ」という単位で表します。
1インチは25.4mmです。しかし、実際にはネジの外径・内径と数字が一致しません。
これはかつて内径を基準として規格を定めたことに由来するそうです。
1インチより小さいサイズですが、1/8、1/4(2/8)、3/8、1/2(4/8)、3/4(6/8)と8の分数で表記され、いちぶ、にぶ、さんぶ、よんぶ、ろくぶと呼びます。なぜか7/8は存在しません。
1インチより大きいものはインチにぶ、2インチ半(はん)、みたいな呼び方をします。(ややこしいですね)
1インチ以上はよんぶを半(はん)と読むと覚えておいてください。
例 3 1/2(さんいんちはん)
以上で管用テーパーねじについての簡単な手順は終わりです。
続いて、ねじ加工の簡単な手順をご紹介します。
ねじ加工の手順
ねじ加工の手順
ねじ加工にはタップと呼ばれるねじ加工用の工具を使用します。しかしながら、タップには穴をあける機能は備わっていません。
そのために、まずドリルで穴をあける必要があります。
ねじ加工前にあける穴のことを下穴加工といいます。
そのためねじ加工をする場合は、ドリルで下穴をあけてからねじ加工をおこないます。
下穴加工→ねじ加工
これはねじ加工全般にいえることで管用テーパーねじも同様におこないます。
下穴径については後程参考程度にご紹介します。
しかしながら、注意すべき点があります。
熱媒が循環するロールの軸穴はBTAなどの深穴加工による穴あけを材料時におこなうため穴径を下穴寸法に設計すべきではないということです。
次に深穴を下穴にすべきではない理由を説明します。
深穴加工と下穴
深穴加工とは
深穴加工とは一般的には穴あけ径の10倍以上の穴をあける加工のことをいいます。あける穴のサイズにより、BTA加工やガンドリル加工に分かれます。
弊社にもボール盤やラジアルボール盤といった穴あけの機械は保有していますが、
深穴加工には向いていないため、深穴加工が必要な品物は材料購入時に加工してもらっています。
軸穴をねじの下穴で加工すべきではない理由
ロータリージョイント接続部分における管用テーパーねじの加工ですが、基本的に旋盤仕上げ時におこないます。なぜなら、素材入荷時に先に加工をしてしまうと組み込み精度や溶接により、完成後に穴位置が中心からずれてしまう可能性があるからです。
そのため、溶接が終わった最終段階で加工をして振れが無いようにする必要がありますが、
もしもねじ部分に振れがあるとロールを回転させた際にロータリージョイントに振れがうつります。
ロータリージョイントが振れているとねじの摩耗に繋がり、水漏れの原因になります。
ここで大事になるのが下穴加工も旋盤仕上げ時におこなうことです。
先ほど説明しましたが、ねじ加工には下穴が必要です。
つまり、ねじは下穴と同じ場所に加工がされます。
もしも下穴位置がずれていたらずれている位置にねじが加工されます。
その結果、管用テーパーネジ部分が振れているという不良に繋がります。
深穴加工を溶接後にするのは切粉がロール内部に混入するだけでなく、加工が高額になる原因になるので普通はしません。
軸穴径は下穴寸法より小径で設計しよう
弊社ではロール製作をおこなう際に深穴加工(BTA・ガンドリル加工)をする部分に管用テーパーねじがいる場合は、下穴加工のために十分な取り代があるかを判断した上で穴径を変える必要があればご提案し、寸法変更させていただいています。
振れは0.2以下には必ずおさまるように徹底管理しております。
参考までに軸穴部の推奨寸法を記載します。
以上が軸穴は下穴径にすべきではない理由です。
穴径の変更が不可の場合は?
深穴加工が大きすぎる場合に下穴加工ができる径にご提案していると先ほど説明しましたが、穴径が設計変更できない場合もあると思います。
実際、そのような場合でも加工は可能です。
深穴加工で貫通させずに、旋盤仕上げ時に下穴とねじ加工をするという方法があります。
これならば、穴径を変えずに振れも出ませんが、繋ぎ部分は穴がずれる可能性が高いです。
なぜなら組み込み精度や溶接の影響で穴位置がずれているからです。
おすすめはしていませんが、見た目を全く気にしないのであれば最終手段として可能です。
以上になります。
今回は、冷却・加熱ロールでの管用テーパーねじ部分を設計時の注意点についてご紹介させていただきました。
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