ロール製作において肉厚が不均一である等の理由により、許容値を超えるアンバランスが発生する場合があります。
ダイナミックバランスマシーンでのバランス測定方法に関しては以前のブログでご紹介させていただきました。
今回は静バランスの簡易的な測定方法とアンバランスの修正方法をご紹介させていただきます。
そもそもロールってどうやってつくるの?って方はこちらからご覧下さい。
工業用ロールの製造方法について【旋盤仕上げまで】
- 静バランスについて
- 静バランスの簡易的な測定方法
- 修正方法について
静バランスについて
静バランス(静的釣合い/static balance)とは
回転体(ロール)を水平な台に乗せた状態で、転がらないようにするために、アンバランスのある位置を特定し、ウエイトを取り付けるか、あるいは穴をあけるなどしてウエイトを抜くなどして、釣り合いを持たせる方法です。
静バランスの簡易的な測定方法
バランス台にロールを乗せる
まず、静バランスの簡易的な測定方法ですが、バランス台にロールを載せます。
バランス台とは静バランスを測定するために高さが調整された水平な台のことです。
転がるかを確認する
この時、静バランスが悪ければ左右のどちらかにロールが転がります。
今回は右方向に転がることが確認されました。この時点でアンバランスになっていることが分かりました。
そのまま転がすと重心が安定して転がらなくなります。その際に下側にきた部分が一番バランスの重い部分になります。
アンバランス量の確認
次にウエイトを使ってアンバランスの量を確認します。鉄なのでウエイトに磁石を使用します。
重心が下にある状態でウエイトをロール上側内径に取り付けます。ロールを傾け、転がるか確認します。転がればウエイトを重くしていき、ウエイトの量を調整しながらロールが転がらなくなるようにします。
どの方向に回しても転がらずに釣合うようになった時のウエイトの重量が現時点での静バランスの数値です。
しかしながらアンバランス量が小さくなってくるとバランス台では転がらなくなってくるので正確な測定には不向きです。以上が静バランスの簡易的な測定方法です。
修正方法について
続きまして修正方法についてですが、
修正方法は主に①ウエイト取り付け②側面の穴あけ③外径切削の3つあります。
①ウエイト取り付け
バランスが軽い側にウエイトを取り付けてアンバランスを調整します。
外周面に取り付けることはできないので外筒内面もしくはフランジ側内面にウエイトを溶接で取り付けます。
見た目は良くありませんがウエイトをフランジ外側に溶接したり、ネジ止めする方法もあります。
⇒パイプ単体での調整など組み立て前の実施がほとんどです。
②側面の穴あけ
バランスが重い側のフランジへ穴をあけて軽くしてアンバランス調整します。③外径切削
偏芯させてバランスが重い側を削りアンバランス調整をします。
⇒ウエイトも穴あけも使用しないため、組み立て前・組み立て後関係なく調整できますが、技術とノウハウが必要になります。
注意すべきポイントとしては外径切削でもバランスが変化し、良くなったり悪くなることがあるということです。
つまり、微量であったとしても外径肉厚の均一差に影響が出るとバランスが悪くなる可能性があります。
そのため、外周面の加工をする場合においてバランス調整は最終工程で行うのが一番望ましいです。しかしながら完成した表面や軸を傷つけてしまうリスクもございますので、弊社ではお客さんからご要望がある場合を除いて、鉄芯が完成した段階での測定とさせていただいております。
以上 静バランスの簡易測定と修正方法に関してでした。
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