クロムめっきアイキャッチ
めっきに馴染みがない人にとっては全くイメージができないと思いますが、2022年現在、めっきは多くのところに使われています。

そもそもめっきってなに?

めっきとは素材の表面に新たな金属皮膜を付与する技術のことです。


つまり、目的に適した金属で素地を薄く被覆する技術をめっきと言い、素材そのものが有していない表面特性を付与するために行います。

めっき風景




めっきの成膜原理など詳しく知りたい方はこちらのページをご覧下さい。





いくつか例をあげると、防食性を得るためにブリキ板にスズめっきが施されていたり、トタン板に亜鉛めっきが施されたりしています。また、機械部品へ耐摩耗性に優れた工業用クロムめっき、大会のトロフィーやメダルには装飾用として金めっき等、熱や光を吸収する黒色めっき、半導体の部品に導電性を付与する銅めっきや金めっきが使われています。このようにめっきと言っても多様な種類が存在し、その特性も様々です。



めっきとは素材の表面に新たな金属皮膜を付与することで、元々の素材そのものが有していない表面特性を与える技術のこと。
ポイント!



弊社では工業用クロムめっきを取り扱っています。今回はクロムめっきの特性についてご紹介させていただきます。


目次

  • クロムめっきについて
  • 特徴その1(硬さ)
  • 特徴その2(加工が容易)
  • 特徴その3(耐食性)
  • クロムめっきの欠点
  • クロムめっきまとめ
  • オリジナルクロムめっきのご紹介


クロムめっきについて

クロムめっきは厚みや用途により様々な呼ばれ方をするめっきです



まず簡単にクロムめっきについて説明しますが、

工業用クロムめっき、硬質クロムめっき、クロームめっき、装飾クロムめっき

と様々な呼ばれ方をしています。
ちなみに図面に記載されたりする【Ep-Fe/IC r 】【MFICr】は工業用クロムめっきのことを指します。
ネジめっき

基本的にクロムめっきであることは同じで、クロムを使っためっきになります。
しかし、施工する膜厚の厚みによって工業用、装飾と使い分けられることがあります。



工業用クロムめっき:2μ以上のクロムめっき(性能重視)
装飾用クロムめっき:2μ以下のクロムめっき(外観重視
)


外観色はシルバー色で高度の光沢が得られ、幅広い用途で使用されています。



【特徴】・変色が起こりにくく、金属光沢を失わない
・汚れがつきにくい、離型性が良い
・硬度が高く、傷がつきにくく、耐摩耗性に優れる
→鏡面仕上げが可能
・摩擦係数が低く、すべり性が良い
・クラックを使用し、保油性を高められる
・密着性が良く簡単に剥離しない
・めっき厚みが制御できる
・小物から大きなものまで処理できる
・処理温度は50度
・リペア(再めっき)が可能




以下特徴について何点か詳しく説明します。


クロムめっきの特徴その1(硬さ)

硬度が高く、傷がつきにくく、耐摩耗性に優れる


まず挙げられる点は硬さです。
工業用クロムめっきは非常に硬く、数値に表すとHV800950程度(一般的な鉄鋼材であるSS材は120140HV程度)となっており、下記のグラフから見てのその硬さは一目瞭然です。


タイトルなし


この硬さに加え、摩擦係数が低いことから、耐摩耗性に優れていると言われています。



HV800~950程度と高硬度

ポイント!摩擦係数も低い

  ⇒耐摩耗性に優れている。

クロムめっきの特徴その2(加工が容易)

加工が容易であり、リペアが可能


次に挙げられる点は加工が容易である事です。めっきを行ったものに対して研削が可能であるため、摩耗しためっきをはがすことや、μ単位で加工を行うことができます。磨き加工を行うことによって表面を鏡のようにする事が可能です。(
)また、めっき加工前後にサンドブラスト加工を行い、粗さを管理することもできます。()

main_image

 表面が鏡のようにきれいになっています!!ピカピカに磨かれていますね~


粗さ①
 粗さの表面を拡大したものとチャート図です。ご指定の粗さに加工可能となっています。

また処理温度が50度程度であるため、熱による素材変形も心配いりません。



・鏡面や梨地など様々な加工が可能。

・研削が可能なのでめっきも剝がしやすくリペアも容易。

・処理温度が50度程度なので、素材変形も心配不要。

ポイント!



クロムめっきの特徴その3(耐食性)

耐食性に優れており、錆から表面を守る機能がある

クロムめっき表面は酸素に触れることで不動態膜が形成されているので高耐食性を示します。
硬質クロムめっき処理した部品やロールを使用しているとめっきに傷が入ることがありますが、以下の機構で不動態膜の再形成が起こり、少しの傷であれば高耐食性を維持した状態で使用することができます。

耐食性


しかしながらめっきへのダメージが大きかったり、酸素が供給されない環境下では不動態膜の再形成が起こらず腐食が進行します。


クロムめっきの上からさらにクロムめっきを行う事も可能(弊社ではダブルめっきと呼ばれています)です。(詳しくはマイクロクラックと錆についてでご紹介)


・不導体皮膜により耐食性に優れている。

・めっき方法の工夫によりさらに耐食性を上げることが可能。

・環境によっては腐食が進行する場合もある。

ポイント!


クロムめっきの欠点


マイクロクラック


クロムめっきにはマイクロクラックと呼ばれる微細な割れが存在します。マイクロクラックはめっき皮膜の中でつながっており、それをたどると表面から母材にまで到達します。
そのため、マイクロクラック起因による腐食が起こることがあります。
クラックあり断面
 マイクロクラックについて

めっき時に素材金属に水素が吸蔵される

めっきが析出する際に水素が発生します。その際に一部の水素が素材金属に吸蔵されて、素材の強度に悪影響を与える可能性があります。
使用用途により加熱炉でベーキング処理を行い、脱水素を行うことも可能です。



つきまわりが悪い

凸部分にめっきが付きやすく、凹部分にはつきにくいといった特徴があります。
そのため、形状によっては膜厚を一定に保つのが困難な品物もございます。



電流効率が悪い

クロムめっきは電気を必要とします。低電流ではめっきが析出しないため、多くの電流を必要とします。大きな品物にめっきをする際は浴槽を冷やすための設備が必要になる場合があります。


クロム酸を使用する


クロムめっきに使用される六価クロムは有害な物質です。クロムめっきになった時点では無害ですが、めっきに使用したクロム酸は排水処理を十分に行う必要があります。



クロムめっきまとめ

クロムめっきはめっきと呼ばれる技術のひとつで、素材表面に新たな皮膜(クロム金属)を形成させる方法です。


そのため、必要な部位にのみ機能を持たせることが可能で、
機能の優れた高価な素材を使わなくても硬質クロムめっきを表面に行うことで機能を十分に発揮することができます。必要最低限の機能を持った素材を使用し、材料コストを安価に抑えてみませんか?


クロムめっきは


・変色が起こりにくく、金属光沢を失わない

・汚れがつきにくい、離型性が良い

・硬度が高く、傷がつきにくく、耐摩耗性に優れる


→鏡面仕上げが可能

・摩擦係数が低く、すべり性が良い

・クラックを使用し、保油性を高められる


・密着性が良く簡単に剥離しない


・めっき厚みが制御できる


・小物から大きなものまで処理できる

・処理温度は50度


・リペア(再めっき)が可能



という特徴があります。



それ以外にもクロムめっきにテフロンを含浸した離型に優れためっき「テフ・ロック」やクロムめっきに炭素を入れることにより硬度アップとクラックレスを実現しためっき「クロアモール」も施工しております。


また当ブログでは今回紹介した以外のクロムめっきの特徴についても記事として複数掲載しています。

めっきと塗装って何が違うの? 
クロムめっきとめっき範囲について【めっき指示のポイント!】
クロムめっきの花が咲くとは【めっきで起きるトラブル】
めっき後の外観不良【スクラッチの原因と対策】
ピット、ピンホールとは!?【めっき面に起きる不良】 
バフ研磨とは【表面の仕上げ加工を紹介します!】


詳しくはご覧下さい。


オリジナルクロムめっきのご紹介


弊社では独自に開発したオリジナルクロムめっきもございます。




クロムめっきにテフロンを含浸した離型に優れためっき「テフ・ロック」
テフロン含浸クロムめっき 
DSC07248



クロムめっきに炭素を入れることにより硬度アップとクラックレスを実現しためっき「クロアモール」
炭素入りのクロムめっき 
スクリュー



テフロンを含浸した離型に優れためっきテフ・ロックの耐熱版「テフ・ロックα」
耐熱性に優れた新商品「テフ・ロックα」のご紹介


テフロンを含浸した離型に優れためっきテフ・ロックの耐久性向上版「テフ・ロック・ファイン」
高荷重環境下でも低摩擦を実現する新商品「テフ・ロック・ファイン」のご紹介


弊社は工業用ロールへのクロムめっきを得意としたロールのトータルサプライヤーです!
めっきだけでなくロール製作も承っております。


クロムめっきについてお聞きしたいこと、お困りの事案がございましたら、是非オテックにお声掛けをください!!





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技術サイト「クロムめっきとロールナビ」 https://otec-kk.info/

 

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