いつもめっき屋営業マンのブログをご覧いただきありがとうございます。

弊社はロールへの硬質クロムめっきを得意とする大阪のめっき屋です。
今回はお問い合わせをいただくことがあるニッケルクロムめっきについての記事です。

硬質クロムめっきについては下記の記事をご覧ください。




目次

  • 工業用途で使用されるニッケルクロム(Ni-Cr)めっきとは
  • 耐食性向上
  • 下地めっき
  • ニッケルクロムめっきのデメリット
  • ハイブリッドクロムめっきのご紹介


工業用途で使用されるニッケルクロム(Ni-Cr)めっきとは

めっき



ニッケルクロムめっきとは、ニッケルめっきをした上にクロムめっきを重ねて処理する2つのめっきをおこなう表面処理のことで、ニッケルめっきにより光沢のあるきれいな表面が得られることから主に装飾目的で利用されます。

しかし、ニッケルクロムめっきはロールといった工業用途のめっきとしても多く利用されています。

ニッケルクロムめっきをする目的は主に2つです。

➀耐食性向上
②クロムめっきの下地めっきとしてのニッケルめっき

以下説明します。


耐食性向上


ニッケルクロムめっきを施工する目的の1つとして耐食性の向上が上げられます。

クロムめっき表面は酸素に触れることで不動態膜が形成されているので高耐食性を示します。
硬質クロムめっき処理した部品やロールを使用しているとめっきに傷が入ることがありますが以下の機構で不動態膜の再形成が起こり、少しの傷であれば高耐食性を維持した状態で使用することができます。

耐食性


クロムめっきにはマイクロクラックと呼ばれる微細な割れが存在します。マイクロクラックはめっき皮膜の中でつながっており、それをたどると表面から母材にまで到達します。
そのため、マイクロクラック起因による腐食が起こることがあります。
クラックあり断面

そのため、クロムめっきのみでも耐食性は向上しますが、腐食しやすい環境下では防錆としては不十分な場合があります。
ニッケルクロムが耐食性に優れる理由

ニッケルクロムめっきはクロムめっきでは防錆効果が不十分な場合に効果を発揮します。
これらの理由から防錆効果をより高めるためにニッケルクロムめっきが採用されます。



下地めっき



クロムめっき下地としてのニッケルめっき
ニッケルクロムめっきを施工する理由にクロムめっきをするための下地めっきとしての役割があります。
主にニッケルめっきを必要とする素材としてアルミニウムがあげられます。

アルミニウムはその軽さからガイドロールの材料として選定されますが、クロムめっきをするには難素材と言われています。

アルミニウムの表面は空気中の酸素と結合し、酸化被膜に覆われています。この酸化被膜がめっき時に不具合を起こすため直接クロムめっきをするのはノウハウが必要で、めっき屋によってはクロムめっきを施工する下地めっきとしてニッケルめっきが必要になります。

しかし弊社ではノウハウによりこの酸化被膜に上手く対処してアルミニウムに直接クロムめっきが可能です。



ニッケルクロムめっきのデメリット


耐食性に優れるニッケルクロムめっきですが、デメリットもあります。

➀コストがあがる

ニッケルめっきとクロムめっきの2つのめっきをするため、2重の処理費用になります。
修理の際も下地のニッケルめっきから腐食していることが多く、新品の際も修理も際もめっきの処理費用が単層のクロムめっきをする時に比べて高価になります。


②納期がかかる

コストが上がるのと同様に工数が増えるため納期がかかります。めっきを2回するだけでなく、下地処理や研削も合わせて必要となるので、不具合が起きた場合などどうしても修正に時間がかかります。


③ニッケルが腐食する環境では使えない

オゾンガスが発生するような環境ではクロムは腐食しなくてもニッケルめっきが腐食してしまう場合があります。
そのため、ニッケルめっきが腐食しやすい環境では使用することができません。


以上がニッケルクロムめっきのデメリットです。
ニッケルクロムめっきは見た目では普通のクロムめっきと遜色がないため、下地にニッケルめっきをしているかどうかが判断が難しく、修理をする場合事前にニッケルめっきをしていることがわかっていなければクロムめっきを剥離して初めてわかるケースが多いです。

作業途中でわかると別途追加費用がかかることになるため、しっかりと表面処理内容を管理しておく必要も出てきます。


そこで弊社がおすすめするのがハイブリッドクロムめっきです。


ニッケルクロムめっきと同等の耐食性をもつハイブリッドクロムめっきのご紹介


ハイブリッドクロムめっきの皮膜は硬質クロムめっきのクラックにガラス系無機物を含浸させハイブリッド化(複合化)した皮膜です。硬質クロムめっき皮膜の弱点を無機物が補うことで機能性が大幅に向上します。
腐食因子の侵入原因となるマイクロクラックをガラス系無機物で封孔すること(ハイブリッド化)により下地の腐食を抑制します。


ハイブリッドクロム皮膜の模式図

ハイブリッド化することで耐食性の大幅な向上が実現できました。(キャス試験20日で赤錆発生なし)
キャス試験において、高耐食性めっきとして知られる上述のニッケルクロムめっきより優れた耐食性を示します。


キャス試験データ


ハイブリッドクロムめっきにすることで耐食性を向上させることができるほか、ニッケルめっきを下地に処理する必要がなくなり、納期の短縮や表面処理の管理もしやすくなることが期待できます。

もし、ニッケルクロムめっきに変わる表面処理をお探しであればお問い合わせ下さい。
※ただし、アルミニウム上のニッケルクロム代替としてのハイブリッドクロムめっきについては技術を確立できておりませんので別途ご相談ください。


詳しくこちら





以上今回はニッケルクロムめっきについてご紹介させていただきました。

クロムめっきについてお聞きしたいこと、お困りの事案がございましたら、是非オテックにお声掛けをください!!




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