いつもめっき屋営業マンのブログをご覧いただきありがとうございます。
弊社は大阪市城東区にある工業用ロール製作を得意とするめっき屋です。
ロールを修理する場合によくあるのが、材質が何か分からなかったり、そもそもめっきをしているのか表面を見るだけではわからないということがあります。
特にわかりにくいのがクロムめっきなのかステンレスなのかという違いです。
今回はクロムめっきとステンレスの違いを見極める方法とそれぞれの特徴についてご紹介します。
まずめっきとは素材の表面に新たな金属皮膜を付与することで、元々の素材そのものが有していない表面特性を与える技術のことです。
クロムめっきとは素材の表面に付与された金属クロム皮膜のことをいいます。
外観色はシルバー色で高度の光沢が得られ、幅広い用途で使用されています。
つまり、簡単にいうと金属の上に別のシルバー色の金属がのっている状態です。
材質は鉄だけでなく、ステンレスやアルミにも施工可能なので表面がクロムめっきでも母材の材質は必ずしも鉄とは限らないので注意が必要です。
ステンレスは鉄に一定量以上のクロムを含ませた、腐食に対する耐性を持つ合金鋼です。
クロムは、めっきとして幅広い業界で使われていますが、金属クロム単体としてはその硬さゆえに脆く加工が難しいため、金属材料としてあまり使われません。
しかし、クロムには不働態皮膜と呼ばれる金属と酸素が結合した緻密な皮膜を表面に持っており、腐食に対して強いという特徴もあります。
ステンレスはそんなクロムを含んだ合金であるため、クロム同様に不働態皮膜を持ち高耐食性を示します。
ステンレスにはクロムと鉄以外にニッケルを加える場合があります。
クロムが不働態皮膜により高耐食を示すのに対してニッケルは金属そのものが腐食に対して耐食性を示します。
クロムがあるだけでも不働態皮膜により錆びにくいのですがニッケルを加えることにより腐食に強いステンレスになります。
ステンレスはニッケルを含んでいるかで磁性が決まり、ニッケルによってステンレスの結晶構造は磁石に引っ付かないオーステナイト構造になります。
ただし、ニッケルを含んでいてもオーステナイト構造にならなければ磁性はあります。
クロムめっきもステンレスもクロムを含んでいることもあり特徴がとても似ています。
しかし、金属は表面の磨き度合によっても光沢が変わるので違いを見極めるのは難しいです。
見た目はかなり似ているので判断する材料としてはあまりおすすめしませんが、クロムめっきを施工している場合はめっきしている箇所としていない箇所の色合いの違いで判断できる場合もあります。
クロムめっきもステンレスも不働態皮膜を持つので耐食性に優れています。
そのため、表面が腐食の影響が受けにくいので長い間使っている品物でも表面の変化が少なく、見た目で違いを見極めるのがより難しくなります。
ただし、表面から赤さびが発生している場合は鉄素地が腐食している状態なのでクロムめっきだと容易にわかります。
また見た目の時と同じで鉄素地にクロムめっきを施工している場合はクロムめっきをしていない箇所も存在するのでその部分が腐食していたりするとステンレスではないと容易に判断がつく場合もあります。
クロムめっきは電気めっきに分類される電気を流すことで析出するめっきです。
そのため、通電に使用した場所にはめっきが付かないのでその性質を利用することで判断することもできます。
クロムめっきとステンレス同じ特性を持つゆえに品物の全体的な風合いが同じかどうかでどちらかを判断する材料になります。
クロムめっきとステンレスは不働態皮膜に守られているので腐食に対して強いですが、この不働態皮膜を破壊してしまうような腐食因子にさらされると錆びやすくなってしまいます。
そういった意味では錆びやすさはそこまで変わらないのですが、クロムめっきにはマイクロクラックと呼ばれる微細な割れやピンホールと呼ばれるめっきの不良による腐食も起こるので鉄素地の上にクロムめっきをしている場合だとステンレスに比べて錆が発生するリスクは高いといえます。
なので錆のリスクを最大限にしつつ、クロムめっきの硬さを活かしたい場合は、ステンレスの上にクロムめっきをすると錆びにくく硬度も得ることができるのでおすすめです。
実際、このような設計をしているロールもあるので磁性がない=ステンレスの表面というわけではなく、クロムめっき+ステンレスの場合もあるということも頭の片隅に置いておく必要があります。
私がロールの材質やめっきの有無を判断する際に使用している方法をご紹介します。
磁石に引っ付かなければステンレスの可能性が、磁石に引っ付けば鉄にめっきをしている可能性が出てきます。
ただし、磁石に引っ付かない場合はアルミの可能性や磁石に引っ付いても磁性のあるステンレスの場合もあるので注意は必要です。
磁性があれば電磁膜厚計でめっきの厚みを調べることができるので一発でわかります。
ですが、めっき屋ではない限りは膜厚計を持っているケースは少ないと思うので硬さや見た目を合わせて判断する必要があります。
そのため、クロムめっきは傷が入りにくく、ステンレスは傷が入りやすいです。
簡単に調べる方法として傷が入っても問題ない場所でカッターなどで傷が入るか確かめるという方法があります。
クロムめっきであれば傷が入りにくく、ステンレスであれば一発で傷が入ります。
ただし、クロムめっきの膜厚が薄すぎるとまれに傷が入る場合もあるのでその場合は明らかにめっきがつくはずのない場所でも傷の入り方を確認してみるのも一つの手です。
簡易的な方法ですが見た目の判断に合わせてこの方法を実施することでわかるケースがあるので試してみてください。
材質が確実に特定できない以上は磁性がなくて硬くてもクロムではない可能性もあるので確実な手段ではないことをご了承ください。
以上です。
今回はクロムめっきとステンレスを見極める方法をご紹介させていただきましたが、確実に見極めるのであれば酸で剥離するかどうか試してみるしかありません。
クロムめっきとステンレスかどうかを判断するだけならまだしも、材質を特定するとなるとさらに難しいです。
そんな時は是非とも弊社までご相談ください。
弊社はクロムめっきとロールのトータルサプライヤーです。
クロムめっきやロールに関する技術的な質問やお困りごとがあればお気軽にお問い合わせください。
弊社は大阪市城東区にある工業用ロール製作を得意とするめっき屋です。
ロールを修理する場合によくあるのが、材質が何か分からなかったり、そもそもめっきをしているのか表面を見るだけではわからないということがあります。
特にわかりにくいのがクロムめっきなのかステンレスなのかという違いです。
今回はクロムめっきとステンレスの違いを見極める方法とそれぞれの特徴についてご紹介します。
目次
- クロムめっきとは
- ステンレスとは
- クロムめっきとステンレスが似ている点
- どちらが錆びやすい?
- クロムめっきとステンレスの見極め方
クロムめっきとは
まずめっきとは素材の表面に新たな金属皮膜を付与することで、元々の素材そのものが有していない表面特性を与える技術のことです。
クロムめっきとは素材の表面に付与された金属クロム皮膜のことをいいます。
外観色はシルバー色で高度の光沢が得られ、幅広い用途で使用されています。
つまり、簡単にいうと金属の上に別のシルバー色の金属がのっている状態です。
材質は鉄だけでなく、ステンレスやアルミにも施工可能なので表面がクロムめっきでも母材の材質は必ずしも鉄とは限らないので注意が必要です。
ステンレスとは
ステンレスは鉄に一定量以上のクロムを含んだ合金鋼
ステンレスは鉄に一定量以上のクロムを含ませた、腐食に対する耐性を持つ合金鋼です。
クロムは、めっきとして幅広い業界で使われていますが、金属クロム単体としてはその硬さゆえに脆く加工が難しいため、金属材料としてあまり使われません。
しかし、クロムには不働態皮膜と呼ばれる金属と酸素が結合した緻密な皮膜を表面に持っており、腐食に対して強いという特徴もあります。
ステンレスはそんなクロムを含んだ合金であるため、クロム同様に不働態皮膜を持ち高耐食性を示します。
ステンレスには磁性のあるものと無いものがある理由
ステンレスにはクロムと鉄以外にニッケルを加える場合があります。
クロムが不働態皮膜により高耐食を示すのに対してニッケルは金属そのものが腐食に対して耐食性を示します。
クロムがあるだけでも不働態皮膜により錆びにくいのですがニッケルを加えることにより腐食に強いステンレスになります。
ステンレスはニッケルを含んでいるかで磁性が決まり、ニッケルによってステンレスの結晶構造は磁石に引っ付かないオーステナイト構造になります。
ただし、ニッケルを含んでいてもオーステナイト構造にならなければ磁性はあります。
クロムめっきとステンレスが似ている点
クロムめっきもステンレスもクロムを含んでいることもあり特徴がとても似ています。✓見た目
クロムめっきが光沢のあるシルバー色なのに対してステンレスはやや赤みがかかったシルバー色をしています。しかし、金属は表面の磨き度合によっても光沢が変わるので違いを見極めるのは難しいです。
見た目はかなり似ているので判断する材料としてはあまりおすすめしませんが、クロムめっきを施工している場合はめっきしている箇所としていない箇所の色合いの違いで判断できる場合もあります。
✓耐食性
クロムめっきもステンレスも不働態皮膜を持つので耐食性に優れています。
そのため、表面が腐食の影響が受けにくいので長い間使っている品物でも表面の変化が少なく、見た目で違いを見極めるのがより難しくなります。
ただし、表面から赤さびが発生している場合は鉄素地が腐食している状態なのでクロムめっきだと容易にわかります。
また見た目の時と同じで鉄素地にクロムめっきを施工している場合はクロムめっきをしていない箇所も存在するのでその部分が腐食していたりするとステンレスではないと容易に判断がつく場合もあります。
クロムめっきは電気めっきに分類される電気を流すことで析出するめっきです。
そのため、通電に使用した場所にはめっきが付かないのでその性質を利用することで判断することもできます。
クロムめっきとステンレス同じ特性を持つゆえに品物の全体的な風合いが同じかどうかでどちらかを判断する材料になります。
どちらが錆びやすい?
クロムめっきとステンレスは不働態皮膜に守られているので腐食に対して強いですが、この不働態皮膜を破壊してしまうような腐食因子にさらされると錆びやすくなってしまいます。
そういった意味では錆びやすさはそこまで変わらないのですが、クロムめっきにはマイクロクラックと呼ばれる微細な割れやピンホールと呼ばれるめっきの不良による腐食も起こるので鉄素地の上にクロムめっきをしている場合だとステンレスに比べて錆が発生するリスクは高いといえます。
なので錆のリスクを最大限にしつつ、クロムめっきの硬さを活かしたい場合は、ステンレスの上にクロムめっきをすると錆びにくく硬度も得ることができるのでおすすめです。
実際、このような設計をしているロールもあるので磁性がない=ステンレスの表面というわけではなく、クロムめっき+ステンレスの場合もあるということも頭の片隅に置いておく必要があります。
クロムめっきとステンレスの見極め方
私がロールの材質やめっきの有無を判断する際に使用している方法をご紹介します。✓磁性の確認
磁石に引っ付くかを調べます。磁石に引っ付かなければステンレスの可能性が、磁石に引っ付けば鉄にめっきをしている可能性が出てきます。
ただし、磁石に引っ付かない場合はアルミの可能性や磁石に引っ付いても磁性のあるステンレスの場合もあるので注意は必要です。
磁性があれば電磁膜厚計でめっきの厚みを調べることができるので一発でわかります。
ですが、めっき屋ではない限りは膜厚計を持っているケースは少ないと思うので硬さや見た目を合わせて判断する必要があります。
✓硬さの確認
クロムめっきとステンレスとでは硬度が全く違います。そのため、クロムめっきは傷が入りにくく、ステンレスは傷が入りやすいです。
簡単に調べる方法として傷が入っても問題ない場所でカッターなどで傷が入るか確かめるという方法があります。
クロムめっきであれば傷が入りにくく、ステンレスであれば一発で傷が入ります。
ただし、クロムめっきの膜厚が薄すぎるとまれに傷が入る場合もあるのでその場合は明らかにめっきがつくはずのない場所でも傷の入り方を確認してみるのも一つの手です。
簡易的な方法ですが見た目の判断に合わせてこの方法を実施することでわかるケースがあるので試してみてください。
材質が確実に特定できない以上は磁性がなくて硬くてもクロムではない可能性もあるので確実な手段ではないことをご了承ください。
以上です。
今回はクロムめっきとステンレスを見極める方法をご紹介させていただきましたが、確実に見極めるのであれば酸で剥離するかどうか試してみるしかありません。
クロムめっきとステンレスかどうかを判断するだけならまだしも、材質を特定するとなるとさらに難しいです。
そんな時は是非とも弊社までご相談ください。
弊社はクロムめっきとロールのトータルサプライヤーです。
クロムめっきやロールに関する技術的な質問やお困りごとがあればお気軽にお問い合わせください。
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