めっき屋営業マンのブログをご覧いただきありがとうございます。
今回はフッ素樹脂を含浸したクロムめっきについてのお話しです。
そもそもクロムめっきってなに?って方はこちらからご覧下さい。
- フッ素樹脂のイメージについて
- テフ・ロックはフッ素樹脂を含浸したクロムめっき
- テフ・ロックの特徴
フッ素樹脂のイメージについて
みなさんはフッ素樹脂(テフロンの商標の方が有名かもしれません)というと何を思い浮かべるでしょうか?
フッ素樹脂は普段の生活でもよく見かける処理です。
パッキンやガスケットなど主に工業用の用途で使うことが多いのですが、普段の生活の中でも見かけることがあります。
みなさんが良く目にするフライパンはフッ素樹脂でコーティング(テフロン加工などとも呼ばれます)されています。
目玉焼きを焼いた際にフライパンにくっ付かずにすむのはフッ素樹脂の働きです。
テフ・ロックはフッ素樹脂を含浸したクロムめっき
そのフッ素樹脂をクロムめっきのクラックと呼ばれる微細なひび割れの中に埋め込んだのが弊社のテフ・ロックです。
テフ・ロックは硬質クロムめっきの硬度とテフロンの離型性を合わせ持つ、
弊社オリジナルのめっきです。
テフ・ロックは主に食品関連の生産設備で使用されてます。
テフ・ロックはフライパンのようにご家庭で使われるようなものに施工することはほとんどありませんが、食品工場や医薬品工場、プラスチック製品を製造する工場などの生産設備に施工させていただいています。
目玉焼きがフライパンにくっ付かないのと同じように生産設備において原料のこびり付きを防いだり、出来上がった製品が金型からすぐ取り出せるようにお手伝いさせていただいています。
その他、製品搬送のガイド部品や成形用や搬送用のロールにもご利用いただいております。
テフ・ロックの特徴
4フッ化樹脂の持つ優れた非粘着性、低摩擦係数、自己潤滑性と硬質Crめっきの低摩擦係数により、通常のクロムめっきや他の4フッ化樹脂複合めっきよりも優れた離型性、耐摩耗性を発揮します。硬度
ベースがクロムめっきであるため、Hv850程度の硬度があります。耐熱性
4フッ化樹脂の融点(327℃)以下です。連続使用については250℃前後を推奨しております。安全性
食品、添加物等の規格基準(厚生省告示第370号)に基づく器具及び容器包装規格に適合しています。このため、食品が直接テフ・ロック面と接するような用途にもご使用いただけます。※財団法人 日本食品分析センターによる分析実験を実施済です。加工特性
処理温度が約200℃と低温であるため、素材への熱的影響がほとんどありません。詳しくはHPをご覧下さい。
テフ・ロックのラインナップ
弊社では耐熱性のあるPTFE樹脂を使用した「テフ・ロックα」やベースに高硬度のクロムめっき「クロファイン」を使用した「テフ・ロック・ファイン」などを開発してきましたがお客様の中にはどのようなケースにどの処理がマッチするのかわかりづらいといった声がありました。
そこで今回はいくつかあるラインナップからそれぞれのテフ・ロックの特性について説明させていただきます。
テフ・ロックαとは
「テフ・ロックα」はテフ・ロックの耐熱タイプです。従来のテフ・ロックの耐熱温度は250~260℃で、それ以上の高温で使用する場合はテフ・ロックに含浸されているPTFEが短期間で劣化してしまうということがありました。
そこで開発されたのが「テフ・ロックα」です。PTFEの変更や加工方法の改良により300℃でも劣化せずに使用することが可能です。
これまで使用温度が250℃以上でテフ・ロックは使用出来なかった部品や250℃以下ではあったが寿命が短かった部品などにぜひご検討下さい。
「テフ・ロックα」についてはこちらもご覧ください
テフ・ロック・ファインとは
「テフ・ロック・ファイン」はテフ・ロックの耐荷重タイプです。
従来のテフ・ロックは200℃で熱処理を行うため硬度はHV850程度が限界でした。その為相手材が樹脂やフィルム、紙など比較的軟質な場合は問題ないですが、金属や強化樹脂など硬質なものの場合や使用時の荷重が大きい場合は低摩擦を長期間維持する事が難しいケースがありました。
そこで開発されたのが「テフ・ロック・ファイン」です。ベースには高硬度クロムめっき「クロ・ファイン」を使用しているため硬度がHV900超と大きくアップしています。また「クロ・ファイン」のクラックが通常のクロムめっきに比べて微細で数が多いため、その高密度のクラックを使用することにより「テフ・ロック・ファイン」はPTFEの含浸量が増加します。
これらの理由によって従来のテフ・ロックでは耐えられなかったような高荷重下の磨耗状況であっても低摩擦を維持し、優れた耐摩耗性を発揮します。
相手材が金属や強化樹脂など硬質であるため部品の磨耗が激しかったり、従来テフ・ロックでは低摩擦を長期間維持することが難しかった高荷重下で使用する部品などに最適です。
「テフ・ロック・ファイン」についてはこちらもご覧ください
テフ・ロックSの開発
最後に現在開発中の新技術について紹介させていただきます。
従来のテフ・ロックでは荷重が大きい場合や相手材が金属など硬質の場合は低摩擦を維持することが難しいことは説明させていただきました。
弊社では金属など硬質材との摩擦摺動でさらに低摩擦を維持出来る新製品「テフロックS」を開発中です。
これまでのテフロックは硬質クロムめっきのクラックにPTFEを封入する技術でしたが「テフロックS」はCrめっき表面に微小な山谷を作り、その凸部を接触面にすることで接触面積を出来るだけ小さくし、そこにPTFEが供給され続けることによって低摩擦を長期間持続させる技術です。
Crめっき表面に凹凸を作りますので平滑性という面では従来のテフ・ロックに劣りますが、重荷重下においての低摩擦の持続性という点においては飛躍的な向上が見込まれます。
表にしてまとめると以下のようになります。
開発途中ではございますが試作などのご相談がございましたらお気軽にお問合せください。
弊社HP「研究開発」紹介ページはこちら↓
また施工例については下記をご覧下さい。
テフ・ロックの使用例
よく問い合わせのあるテフ・ロックとテフロンコーティングの違いについてはこちら
テフ・ロックとテフロンコーティングの違い
いかがだったでしょうか?
テフ・ロックの資料請求やサンプルを希望される場合はお問い合わせ下さい。
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